Chiyoda Gakuen
もう足かけ7年近く前、中学生を対象に「進路希望アンケート」調査を実施しました。何でそんな古い話を今頃持ち出そうとするのかって?それは中学生が自分の将来について、どれ程真剣に考えているかを知るまたとない機会となったことをお伝えしたいからです。
明るい未来をなかなか思い描きにくい時代にあって、結論から言うと、生徒達は外的環境が大変厳しいことをよく理解したうえで、健気なほど堅実な職業選択を志向している事実が読み取れたのです。曾て無気力、無関心それに無感動だったでしょうか、若者を一括りにして「三無主義」と慨嘆する風潮が、広く流布されたことがありましたが、今は昔との思いを強くしました。
本アンケートは、そもそも高等学校における五年一貫看護科、看護専攻科のニーズ把握の社会調査という目的も合わせ持っていたのですが、この点でも括目に値する結果を得ることが出来ました。回答者総数2083人のうち、4人に1人が社会へ出てから以降の具体的な「目標がある」と答え、「少しは考え始めている」という生徒60%を加えると、実に85%もの生徒が、自分の将来について思い巡らせているということ。本当に驚きです。
第一希望から第三希望まで書いて貰ったのですが、第一希望では中学生らしくスポーツ選手やタレントなども並び、それはそれで時代の写し絵として微笑ましく思いました。しかし表紙を一枚捲ると景色はすっかり一変します。第二や第三希望には憧憬に類する職業は影も形も有りません。あるのは手を伸ばせば届きそうな、日々の生活のなかで出会うそうした職業です。流石に会社員や公務員が一位を競うというのは、不安な社会故なのかと、ちょっと考えさせられましたが、看護師を例に取ると第一から第三希望まで底堅く希望者がいること。そしてその理由が「人の役に立つ仕事でやりがいがある」が断然第一位で「給料が高い」が第二位という結果には思わず唸りました。
社会的存在としての立ち位置と私生活を融合させようとするその心根は、天晴れと言うべきか。いずれにしても15歳ともなれば、私達が考えている以上にしっかりと自分を見つめているということ。希望、それはまだ孵化する前段階の卵の状態であろうけれど、決して思いつきなどと言う代物では断じて無いこと、そして何よりも心の奥深く、内発的な力の源泉が全ての生徒にもあるであろうことを確認しておきたくて一言。
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