Chiyoda Gakuen
大阪暁光高等学校第2期生の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。保護者の皆様には今日のこの良き日、殊の外お喜びのことと存じます。そして御来賓の皆様、皆様方におかれましては公私何かとご多用中にも拘わりませず、御来臨賜りましたこと、衷心より感謝申し上げます。本当に有難うございます。
さて、236名の卒業生の皆さん、皆さん方はこの3年間正課の授業はもとより、家庭学習KGや文化祭等各種の行事にクラスを挙げて取り組んでこられました。本校が大事にしている教育は、みんなで励ましあいながら、一人ひとりが学ぶ意義を自らのものとしていく過程、その道のりです。卒業はひとつの区切りでありますが、同時に新たな学びの日々の始まりでもあります。この先皆さん方を待っている社会、私達が暮らすこの時代は決して明るく輝いているとは言い難く、それどころか深い霧に覆われているようにさえ見えます。先行きが見通せないばかりか、希望を語ることも憚られる、そんな空気が漂っています。
いや、でもだからこそと言うべきでしょうか?皆さんが本校で学ばれた最も大切なこと。それはその霧を払い、未来へ向かって希望を繋ぐために何が課題かをしっかり見つめ、向き合うこと。皆さん方への後世からのメッセージとして、そのことを深く静かに心に刻みこんだ三年間であったと、そう皆さんが思えるのであれば、私からはもう何も言うことはありません。何故ならそれは、既に皆さん方の存在それ自身が希望そのものだからです。
旅立ちの時が来ました。卒業後の進路は様々です。進学、就職、これから受験を控えている人。そして本校の看護専攻科へと進まれる皆さん。その皆さん全員に、最後に私は時に挫けそうになった折、必ず立ち返る言葉を紹介します。「人間を信頼する」。シンプルですが簡単には言えません。「君たちはどう生きるか」でよく知られた、吉野源三郎氏は人間は悪魔と見紛う振る舞いもするが、自己犠牲を厭わない人もいて、どちらが人間の本性なのかと袋小路に入ってしまい、長いこと答えを見つけることが出来ませんでした。結論は両義性、両方の側面を併せ持つ統一した存在、それが人間だということ。どちらを選び取るか、はその人自身がきめることであり、人間の自由意思で「人間を信頼する」側にそしてそれが裏切られる危険を孕んでいることも覚悟して「賭ける」。その「賭け」によってのみ、初めて善き行いも、学問の真理も芸術の美もその他一切の価値を地上に生み出してゆけるのだと言っています。信頼によって結ばれた豊かな人間関係を紡いで行かれることを心から祈念して祝辞と致します。
ご卒業おめでとうございます。
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