Chiyoda Gakuen
始業前、学校に着いて真っ先にする事。それは前日の夕刊と当日の朝刊から、ちょっと気になる記事を選んでコピーすることです。ほんの数頁ですが、一か月もすれば、結構な分量になります。そして手に取って改めて一枚一枚眺めてみると、今日という日が私にはどう映っているのか、一目瞭然です。勿論、教育に係る記事が目に留まるのは言うまでもありませんが、それと同じ位に関心を引くのは、地球規模における未来についてです。好むと好まざるとにかかわらず、グローバリゼーションは一層進展していくでしょう。そしてその結果、世界はますます緊密に結び付きを強め、互いが抜き差しならない関係性の元に置かれるのは畢竟自明の理ではありますまいか。
ところがあろうことか、世界に冠たる影響力を有する指導者のひとりトランプ米大統領は、自国の利益第一にと様々な難題を他国に持ち掛け、世界を混乱させている元凶という他無い振る舞いです。そして遂にはやっとの思いで合意に至ったパリ協定(気候変動)からの離脱です。「引き裂かれた思考」としか言いようのない無分別に言葉もありません。でも翼翼考えれば、それは決してトランプ大統領の専売特許と言う訳では無いのではないか、と思えてくるのです。むしろ明け透けに後先を考えずに「今、この時」が全てだという点で、存外世界標準の行動規範なのかも知れないとの思いが一方で募ります。例えば、いずれは必ずばれるデータの改竄がこれでもかと言うほどに横行しているではありませんか。ドイツ車の排ガス検査を始め、医薬品の試験結果や我が国でもTゴム社の免震検査等々改竄の例は枚挙に暇が無く,剰え決算の水増しに至っては、またかと驚くことすらなくなるほど鈍感になってしまっていることに、今更ながら気づかされます。
当座の利益の確保が全てに優先する社会、なればこその醜態と言えなくもありません。問題の発覚を恐れ、只管ひた隠しにして先送りする企業体質。こうした逸脱が世界を蝕んでいるのであれば尚のこと、今こそ大事にしなければならないのは、これからの時代の向かう先をしっかりと定め直すこと。そして羅針盤に沿って過たずに進路を取り、誤魔化さない、糊塗しない、目を逸らさない、事実に向き合い、未来に責任を負う。成長と成熟、拡大と均衡、開発と保全、様々な指標を胸に刻み、溢れかえる物量社会を卒業し、いささか心許なくとも分かち合いを基本として、心豊かな文化資本を活かす社会の構築のために舵を切る、その一翼を担いたいと切に思います。日々の暮らしが心穏やかであることが、何よりも上位の価値規範である社会の実現を願って止みません。
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