Chiyoda Gakuen
平成29年度大阪千代田短期大学の入学式に際し、式辞を申し述べます。
入学生の皆さん、御入学おめでとうございます。また保護者の皆様には、立派に成長された我が子の晴れがましい門出、さぞかしお喜びのことと拝察致します。
さて、新入生の皆さん、皆さん方はこれからの2年間、この小山田キャンパスで思う存分学び、そして学生生活を楽しまれることでしょう。緑陰に憩い、爽やかな風に誘われる心地良さ。たちまち皆さん方を虜にすること請負です。
本学は我が国で最も早く幼児教育科を設置した短期大学のひとつとして、1965年(昭和40年)学校法人千代田学園によって設立されました。学校法人千代田学園は1950年(昭和25年)に高野山真言宗の末寺盛松寺の住職高橋道雄師が戦後の人心の荒廃に心を痛められ、千代田高等学校開校と千代田学園幼稚園を開園され、以来67年の年月を経て今日に至っています。又、短期大学もお陰様で2015年に目出度く創立50周年を迎えることが出来ました。卒業生は一万人近くに上り、教育や保育、福祉の分野で沢山の先輩が活躍されています。
教職員はもとより、在学生や諸先輩など多くの人達が皆さんの入学を心から歓迎しています。分からないことや、迷った時はどうか臆せずにどんどん尋ねて下さい。
リソース(様々な教育資源)は活用してこそ値打ちがあるというもの。そのため本学は小規模大学故の利点を活かそうと、千代田SHIPを教育方針に掲げています。すなわちSmall(少人数教育)、Heatfui(こころのかよったきめ細やかな教育)、Ⅰntellectual(豊かな知力を培う教育)、Practikal(実践的な教育)の頭文字でSHIPです。SHIPはまた船の意ですから、この船に乗りあわせた皆さん方は、フレンドシップ、友情で結ばれた関係ということになります。是非大いに友情を深められ、共に成長する2年間であってほしいと願っています。
ところで、私達は今どんな時代に生きているのでしょうか。世界中至る所でいがみあい、戦火が広がりテロが繰り返されています。個別の事情は様々ですが、根っ子にあるのは欲望の際限ない肥大化と絶望的な貧富の格差拡大です。ひとごとではありません。私達の国でも、寛容さや共感性を失ったかのごとく、隣国、隣人に対するヘイトスピーチや重度障害者、要介護高齢者、また児童への虐待など人権侵害が跡を絶ちません。私は、人類は試されているのだと思います。人間が手に入れた途方もない生産手段を、自然と人間の共生そして人々が宗教や人種、民族の違いを超えて、平和の裡に生きて行く為に活かすことが出来るのか、それとも自然を破壊し、支配や抑圧の道具と化してしまうのかが問われているのです。本学の使命(ミッション)は正にこの点にあります。地域社会に住まう一人ひとりに寄り添い、何気無い毎日が何よりも大切でどれほど愛おしいことか、幼児教育、保育、介護福祉の専門職を志す皆さん方は、文字通り平和な社会の確かな証に他なりません。そしてその皆さん方を幼稚園や保育園、介護福祉施設の職員の方々が、今か今かと卒業を一日千秋の思いで待ち焦がれておられます。皆さん、その期待に応えようではありませんか。気概に満ちた2年間であれとエールを送り式辞と致します。
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