Chiyoda Gakuen
「選択と集中」と聞くと、思わず身構えてしまいます。それは多分にその裏側にそっと忍ばせてある秘密、「選別と排除」を意識するからです。では、何を選択し、何に集中しようとするのでしょう。又、その反対に選別し排除したいと考えているものは何でしょうか?薄々お分かりですよね。そう図星です。
公共機関までもが民間企業に倣い、限りある財源を投資的経費に充当し、人,物、金を呼び込みたくて言っているのです。だとすると、逆に削る対象はこれまた自明のことですが、義務的経費をターゲットにしていることは容易に読みとれます。そしてその太宗を占める人件費や扶助費に切り込む為の方便。それが「選択と集中」の真の狙いです。だから福祉の充実と言いながら、概ねスローガン倒れになる理由も宣なるかなではないでしょうか。で、そうして無理に無理を重ねて捻りだして取り組んだ事業の首尾はというと、これがなかなか思い通りには行かないようです。どこでボタンを掛け違うのでしょう?誤解を恐れずに言うなら、根がないものには花は咲かない、という極当たり前の真理です。イノベーションはそれを生み出す土壌があって、初めて成就するのです。突然手品のような上手い手などある筈が無く、むしろその逆。選別し排除したもののなかに明日への希望の芽が覗いているのでは、との思いを強くしています。
その一つであれば嬉しいのですが、本学園の経営理念の根幹に係る介護福祉コースについて一言。率直に言って学生募集では苦戦しています。リスクマネージメントの観点に立てば、存置させることの是非が議論されて然るべきかも知れませんが、学園は高い見識を備えた介護福祉士の養成に愚直に取り組み続ける覚悟です。そもそも「学園の存在理由は那辺にあるか」と問えば、答えは自ずから導き出されると考えています。介護問題がこの国の行く末に未来を見ることが出来るかどうか、を分かつ重要な指標であることは論を俟ちません。地域社会が抱える生活課題や福祉ニーズに向き合えてこその学園だと言うことを私達は知っています。そうした課題から目を逸らすようでは、社会的信頼を得ることは到底叶わないでしょう。市場原理主義に振り回されず「誇りと矜持」と言う人間観を対置しようと試みる私達の取り組みが、果たして受験生を初め多くの人達の共感を得るか否かは、一学校法人に止まらない社会性を帯びた挑戦ではないかとの気概のもと、これからも一層頑張り続けたいと決意しています。大方のご支援に期待を寄せて。
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