Chiyoda Gakuen
看護専攻科に進級された皆さん、進級おめでとうございます。学園を代表して祝辞を申し述べます。これからの2年間は、皆さん方にとって毎日が怒涛の日々となることでしょう。高校とは違い、専攻科の授業時間は大学と同じ90分授業です。大学の先生や医師から教わる授業では、初めて聞く専門用語や、語彙、その意味。もうついて行くのが精一杯というところから始まります。そして、本格的な臨地実習。患者さんと接し、看護補助を行い、卒業前には担当も受け持ちます。実習は緊張の連続。一つ間違えば命が係っている。現場の臨場感は、その場に居合わさなければ分からないとしか形容し難いものでしょう。でもだからこそ、鍛えに鍛えられ、劇的に成長させてくれる掛け替えのない経験です。指導者の先生の話されること、一言一句聞き漏らすまいと集中して下さい。
そして、何よりも患者さん本人から言葉には尽くせない看護の奥深さ、本質を学んで下さい。疾病だけでなく、病んでいるその人自身に丸ごと向き合うこと。心の内を推し量り、家庭や生活状態、社会的背景にまで関心を寄せてこその看護。これが実習の醍醐味でもあります。
では、こんなとんでもない責任ある看護師養成に、そもそも何の手蔓も持たない本校が、何故看護教育に取り組もうとしたのでしょうか?その理由は二つです。一つは、医師会の看護学校が閉校したこと。地域医療の看護師育成は社会的課題でありました。ならばと、人間の尊厳を大切にする社会の実現を希求し、紡いで来た本校教育の新たなチャレンジとして、名乗りを挙げたのです。二つには、看護大学や専門学校が看護師育成の主流だとしても、一日も早く自立して働きたいと願う生徒にとって、五年一貫コースは、これ以上ない仕組みであると考えました。高等学校での学びを土台に専攻科課程へ進むコースは、基礎学力をしっかり身につけるとともに人格を磨き、人権意識に優れた看護師を輩出するに相応しいコースだと、私たちは確信し、取り組みを決意したのです。
道なき道を六年かけて、実習病院のご指導を糧に、教職員と生徒の皆さんが力を合わせて切り開いて来ました。一期生に続き二期生が今春卒業しました。素晴らしく頑張り、やっと細い道が目的地までこれで二本繋がったのです。先輩は本当に逞しく、賢く、そして頼もしい存在です。この道を今度は皆さん方が更に大きく、見通しの良い景色に変えて欲しいと願っています。
これからの二年間は、皆さん方自身の夢を叶える道程であると同時に、後輩にとってはこれ以上ない道標となるでしょう。二年後、弾ける笑顔の皆さん方の姿を思い浮かべ期待と激励の祝辞とします。
2019.4.8
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